モンスター社員を解雇するには?退職勧奨を含めて問題社員対応について弁護士が解説!

問題社員対応(モンスター社員対応)~解雇・退職勧奨について弁護士が解説~

問題社員(モンスター社員)の解雇・退職勧奨とはどのような手続きでしょうか?

例えば、問題社員を辞めさせたい。会社の経営不振のため従業員を削減する必要がある。このような場合にいきなり従業員を解雇しようとするとトラブルになりがちです。また、適法に解雇をするには法律的な手続きをしっかり踏む必要があります。

解雇には正当な理由が必要であり、これを立証できないと後々労働審判や裁判で問題となる恐れがあります。

従業員と話し合いをしてもどうしても合意の退職とならないような場合には、最終手段として解雇の手続きを取ることになります。

しかし、解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、無効となります(労働契約法16条)

たとえば、労働者の能力不足あるいは適格性の不足、労働者の規律違反、経営上の必要性に基づく理由、ユニオンショップ協定に基づく理由などがあげられます。

また、正当な事由以外にも、適正な手続きを取らない解雇は、最悪の場合、労働審判や裁判で無効となり、慰謝料の支払いを命じられたり、その間の給与を負担することになります。

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従業員の解雇手続きについて弁護士が解説

そこで、まず、「辞めてもらえないか」打診して、合意の元に円満に社員に会社を退社してもらう手続き(退職勧奨)が考えられます。

退職勧奨とは、企業が従業員に対して退職を勧めることを指します。

企業が従業員に対して、「辞めてくれないか」「辞めて欲しいと思っている」などと働きかけることで退職を促します。退職勧奨が行われるシーンは様々で、従業員の能力やパフォーマンスに問題がある場合や、企業の業績不振などの経済的な理由から行われることがあります。

退職勧奨は、企業と従業員の双方にとって、解決策を見つけるための手段の一つなのですが、適切な手続きを踏まなければ、かえってトラブルになってしまうことがあります。そうならないよう慎重に行う必要があるものです。

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問題社員の類型と対応方法

(1)業務命令に従わない社員

雇用契約は、「当事者の一方が相手方に対して労働に従事することを約し、相手方がこれに対してその報酬を与えることを約する」契約です(民法623条)。

しかし、業務内容は大枠では予め合意できても、具体的な内容はその都度の指揮命令によって確定せざるを得ないため、「労働に従事することを約」することの中には、使用者に指揮命令権を付与することの承認が含まれており、労働契約の本質的要素となります(最高裁昭和61年3月13日判決・労判470号6頁参照)。

使用者が労働者に対して持つ指揮命令権の行使を、一般に業務命令と呼びます(どのような範囲の権限を業務命令権と呼ぶかについて議論はあります)。

業務命令の有効性、適法性は、当該労働者との交渉や労働審判、民事訴訟、保全処分といった手続において、労働者から、配転命令等の一定の業務命令の無効確認や、業務命令に基づく懲戒処分(懲戒解雇含む)や普通解雇の無効確認、違法な業務命令に対する不法行為ないし債務不履行を理由とする損害賠償請求を受ける形で問題となります。

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業務命令に従わない問題社員への対応方法について弁護士が解説

(2)会社に対する誹謗中傷を行う問題社員

企業への誹謗中傷によって、従業員に対する懲戒処分を行うことができるときがあります。なお、誹謗中傷ではなく、正当な批判であるときなどは、懲戒処分を行い得ない場合もあります。例えば、

・実際にパワーハラスメントを受けており、その音声なども持っている状態で、「△社の××氏からパワハラを受けた」などという書き込みをする

・実際に社内で違法行為がなされている時に、その行為を摘示する内容をSNSに上げる

などです。こういったときには、その書き込みは違法な誹謗中傷とはいえない場合があります。書き込みの内容が誹謗中傷に当たるかどうかわからない、といった状況では懲戒処分を行うべきではありません。まずは、専門家に一度相談することをおすすめします。

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企業に対する誹謗中傷を行う問題従業員への対応方法について弁護士が解説

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問題社員対応(モンスター社員対応)における退職勧奨のステップとは?

(1)問題について警告書を出す。

例えば、遅刻常習社員、さぼり社員、理由を付けて欠勤する社員、仕事が非常に遅い社員、社内で不倫をする社員など、様々な問題行動を起こしている社員に対しては、あらかじめ社内で警告書を出しておきます。

通常、人の自分に対する評価は、客観的な外部からの評価より2割程度高いというデーターがあります。ですから、会社が社員の仕事ぶりに不満を持っていてもそれを告げないまま、突然退職の勧奨(いわゆる肩たたき)をすると、社員としても全く想像もしていない会社からの退職勧奨に反発し、労働紛争に発展することになります。

また、仮に退職勧奨に応じない場合、解雇という手続きを踏むことになると思いますが、これには正当な自由が必要となります。その時のためにも、是非、警告書を出して証拠を残しておいてください。

(2)話し合いで退職届を書いてもらう。

退職してほしい社員に対して、真摯に話をして社員に納得して退職届を書いてもらう必要があります。例えば、いわゆる業績不振の場合などは事前に会社の業績について社員に説明する、問題社員については問題を警告し時間的な猶予を与えて改善しない場合にはその都度始末書を書いてもらうなど、しっかりと前々から会社の情況や社員の評価について会社から話をして、社員にも納得してもらうことが重要です。

(3)退職強要とされないように注意する。

退職の説得については、退職強要と評価されないように、1日中長い時間を拘束して社員を説得する、大勢の従業員で取り囲んで説得する、語気を荒げたり退職に応じない場合の不利益取り扱いを示唆する、などは避けてください。

(4)退職金の上乗せも検討する。

また、生産性の上がらない社員、業務にとって悪影響を及ぼす社員、他の社員に迷惑をかけるような社員については、毎月だらだらと給与を払うより、時には、退職金の上積みも検討して、早期に辞めてもらうように交渉します。

1か月分の給与(解雇予告手当相当の賃金)か、またはそれに+1月分の給与を上乗せして、退職の説得をします。

(5)失業保険や健康保険や国民年金の説明をする。

(ア)失業給付の説明

退職勧奨の場合や解雇の場合「会社都合」の退職となります。会社都合で仕事を辞めた場合には、労働者は「特定受給資格者」となるので、7日間の待期期間の後に、すぐに受給が始まります。

退職した社員が失業給付を受給するには、自己都合退職の場合、雇用保険の加入期間が12か月以上でなければなりませんが、会社都合であれば、その期間は6か月で足ります。

失業手当で貰える金額は、基本手当日額×基本日数で、在職時の給与や金属年ス、年齢によって異なりますが、おおよそ在職時の2/3程度が支給されます。

退職後退職者がハローワークで手続きをします。

一応知っておく必要がある事として、社員を会社都合で退職させた場合にはペナルティがあります。雇用に関する助成金を半年間受けることが出来なくなり、申請中のもので社員の離職した日以降が受給日となるものについては受給が停止されます。

しかし、これを嫌って無理やり退職勧奨なのに離職票の離職理由を「自己都合」にさせるように強要してトラブルになり労働審判まで発展したケースもあります。

会社の退職勧奨の場合は「会社都合」です。離職票には正しくその旨記載してください。

(イ)健康保険や国民年金の説明

①健康保険の任意継続②国民健康保険③家族の健康保険のいずれかに加入することになります。

このうち健康保険の任意継続は、 在職中の健康保険に引き続き加入する方法で、在籍2か月以上である場合に認められます。継続を希望する場合は本人が退職後20日以内に手続きをする必要があります。任意継続の保険料は、退職時の標準報酬月額を基準に算定されます。この金額は2年間変わりません。

国民健康保険に加入する場合には、市区町村の窓口で手続きをします。国民健康保険の保険料については各市区町村で変わるので、窓口で問い合わせてください。国民健康保険の場合、失業中であれば保険料の減免の措置もありますので、そちらも相談してみることを勧めます。
  
国民年金の手続きも必要です。国民年金保険はそのまま支払わないでいると万が一死亡時や障害を負った時などに給付について不利益を被る可能性があります。

(6)再就職の支援。

従業員は退職する事で最も不安に思っていることは、今後の就職先が見つかるかどうかです。そこで、できるのであれば会社の「つて」等で再就職先を探すなど、再就職の支援を行うことも考えられます。次の就職先が決まれば退職の説得にすんなり従業員が応じてくれることも有ります。
3.退職合意書を書いてもらう際の注意
退職勧奨について従業員の合意が取れたら、退職の合意書を必ず書いてもらいます。ここには、下記のような内容を盛り込みます。退職の合意を書面にする事は後々トラブルになった場合に、退職の合意があったことを示す有力な証拠となります。また雇用保険の手続きの際に「離職理由がわかるもの」として使う事になりますので、必ず作成します。

  • 退職の日付
  • 退職金の金額と支払日、振り込みにする際は手数料負担の取り決め
  • 会社都合の退職
  • 機密情報についての保持

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問題社員を解雇する具体的な要件とは?

解雇は、従業員の同意なく使用者が当該従業員に対し一方的に従業員としての地位を失わせる行為です。解雇は、従業員に対し、生活基盤を失わせるという多大な不利益をもたらすものであることから、法律は、解雇に対して、いくつかの規制をおこなっています。これらの規制に反すると、解雇が無効となり、雇用契約が従来通り存続していたものとして取り扱われたり、当該解雇が不法行為となり会社に損害賠償責任が生じてしまうこともあります。

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問題社員対応(モンスター社員対応)については弁護士までご相談ください

ニライ総合法律事務所は、退職合意書の作成や、退職の際の合意書作成の立ち合いなども、行っています。

退職合意書解約 1通 3万円(税別) 事前に2回ほどお打合せをして、退職の条件等を盛り込んで作成いたします。退職勧奨のアドバイスもいたします。
退職勧奨立ち合い 1回 5万円(税別)~ 日当込み。ただし、うるま市より北部、離島の場合は別途出張日当がかかります。

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    Last Updated on 2024年8月14日 by roudou-okinawa

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