弁護士による事業承継・M&A

弊所は、沖縄県内にて、多くの中小企業の顧問を務めております。

本ページでは、企業法務に強い弁護士が、事業承継/M&Aについて解説していきます。

また、後半では経営者の皆さまが、弁護士を活用するメリットなども紹介しておりますので、ぜひ最後までご一読ください。

 

①事業承継とは

事業承継やM&Aという単語に、聞き馴染みのある経営者の方々もいらっしゃるのではないでしょうか。

事業承継とは、その言葉通り企業の所有権・経営権や資産を後継者に引き継ぐプロセスのことを指します。

なお、実は、事業承継と呼ばれるものの中には、3つの種類があります。

①親族内事業承継
②社内事業承継
③M&A(合併と買収)です。

それぞれ、似て非なるものですので、具体的な違いについては、後半で解説します。

 

②事業承継を取り巻く現状と今後

それでは、後継者に事業を引き継がせる、事業承継の背景にはどのようなものがあるのでしょうか。

また、経営者の方が事業承継を考えるのはどのようなときなのでしょうか。

今後の動向予想も合わせて、解説していきたいと思います。

(1)経営者の高齢化

中小企業庁の「中小企業白書(2023年版)」によると、2000年時点では、経営者の中で最も多い層は、「50歳から54歳」でした。

これが、2022年では、経営者年齢のピークは「70歳から74歳」「65歳から69歳」などとなっているのです。

また、75歳以上の経営者の割合は、2022年度も高まっています。

全体的に経営者の高齢化が進んでいると言えます。

そして、中小企業の休廃業や解散件数に関しても、年々微増しており、2022年には5万件近くとなっています。

このような、経営者の高齢化が進んでいるという背景から、近年は、事業承継に注目が集まっているのです。

(2)後継者の不在

同白書によると、2011年に「後継者が不在である」と回答した経営者の割合は65%以上にものぼります。

そして、この後継者不在問題は、およそ10年近くに渡って続いており、2020年でも、「後継者不在」割合は65%を超えているのです。

もっとも、2021年からは一転して後継者不在割合が低下し、2022年には、60%を切っている点が印象的です。

後継者不在割合が一転して低下したことの原因としては、経営者の年齢の上昇に伴い事業承継を実施した企業が多く存在した可能性があると言えます。
そして、事業承継が進んだことにより、後継者不在による休廃業の動きを鈍らせている可能性があるのです(同白書より)。

(3)事業承継についての経営者の動向

同白書による、経営者の意向に関する動向をみてみましょう。

50歳代までの経営者をみてみると、子供や孫、親族に引き継ぎたいと考えていると回答した割合が約4割となっています。

もっとも、70歳代以上の経営者を見てみると、親族以外の役員や、無関係の第三者に引き継いでもらいたいと考えている割合が高くなっています。

このことから、経営者の年齢が上がるに連れて、家族・親族に関わらず、誰かしらに事業承継を引き継いでほしいと考える人が増えていることが分かります。

また、30歳代の経営者の過半数が事業承継について未定であると答えている一方、70歳代以上となると未定の回答は3割以下となっています。

このことから、自身の年齢が上がるに連れ、事業承継問題について考える経営者が増えているといえるでしょう。

 

近年は、このような高齢化の進行、後継者不足による休廃業が増加していると言えます。
そして、企業を存続させるために、事業引継ぎ支援センターや、各種支援サービスが登場ており、事業承継が注目されることとなっているのです。

 

③事業承継の3つの種類

では、事業承継の中の3つの種類はそれぞれどのように違うのでしょうか。
内容と、それぞれのメリット・デメリットを紹介していきたいと思います。

なお、事業承継の種類分けについては、様々な考え方があるのですが、弊所では、中小企業庁が公表している資料に則って分類分けを行っております。

(1)親族内事業承継

いわゆる同族経営や、御曹司をイメージしていただけると、わかりやすいのではないのでしょうか。
親族内事業承継とは、現社長の子供などの親族に事業を承継させる方法です。

メリットとしては、従来から取引先や従業員と顔なじみである場合が多く、心情的にも受け入れられやすいという点が挙げられます。

また、この方法ですと、早々に後継者候補の方と話をしておくことができます。
このことで、準備期間をきちんと取ることができ、比較的ゆっくりとしたスケジュールで、事業承継を行うことができます。
例えば、予め従業員として雇入れ、各部署を回らせて社内の実情を知ってもらうとともに、企業理念や経営ノウハウを教えることで、従来の経営指針を引き継いで貰うことができます。
これにより、社内の混乱を防ぐことができますし、従来の顧客や取引先との取引関係を継続させることが容易になります。

事業承継を行う際には、後述するように多くの作業や時間が必要となるため、これは大きなメリットであると言えます。

デメリットとしては、適切な後継者が親族内から見つからないにも関わらず、事業承継を強行してしまうと、社内に混乱が生まれ、事業承継が失敗してしまうリスクがある点です。

長男であれば家業を引き継ぐ、といったような古い価値観にとらわれてしまうと、本人にその意思がなかったり、経営者としての技量がなかったりした場合でも、経営者となってしまい、結果として事業の失敗を招きかねることになりません。

また、子供・孫以外の親族に引き継いでもらう場合、子供に承継されるはずだった相続財産が減少してしまう場合もあります。このような場合、承継後に親族間でトラブルが生じる可能性が生まれてしまいます。
権利関係が複雑となるような場合は、法的なケアだけでなく、心情的な面でもケアが必要でしょう。

(2)社内事業承継

社内事業承継とは、その会社で働いていた従業員や役員に承継させる方法です。

メリットとしては、複数名の従業員・役員の中から、きちんとした経営者としての能力がある人材を見極めて、後継者として選定することができる点が挙げられます。

また、上の親族内事業承継と同じく、既に社内外で顔なじみである場合が多いため、心情的にも受け入れられやすいという点もあります。

既に社内について深く知っている従業員・役員が選ばれることが多いと思われますので、企業理念やノウハウ等の引き継ぎも比較的簡易に行うことができると考えられます。

また、親族内事業承継の場合と比べると、社内の現場をより知っている場合が多いと考えられるため、社内での受け入れやすさは、親族内事業承継を上回る可能性もあるでしょう。

デメリットとしては、親族内部からの反発や、選ばれなかった他の従業員が心情を害してしまう可能性が挙げられます。社内での反発が起こり、従業員の離職などが生じてしまうと、経営基盤が危うくなってしまう場合もあります。

(3)M&A(合併と買収)

株式譲渡や、事業譲渡と呼ばれる様々な方法によって、会社外の第三者に引き継がせる方法を言います。
第三者は個人であるときもあれば、企業である場合もあります。

メリットとしては、親族や従業員に適任者がいない場合でも、適切に事業を承継してくれる第三者を探し出すことで、事業を長く存続させることができるという点があります。

なお、高齢化や、後継者不足を理由とする場合のM&Aは、会社を売却してしまい、現経営者は一線を退く場合が多いといえます。
この場合、経営者は今後の事業にはタッチすること無く、会社を売却することによる売却利益を得られることとなります。

デメリットとしては、企業理念に沿うような第三者が見つからない可能性があることや、希望通りの売却価格で売却できない可能性がある点です。

(4)事業承継の現状

では、日本においては、どの類型の承継方法が多いのでしょうか。

従来は、親族内承継が最も多かった承継方法であり、約4割を閉めていました。

もっとも、近年はゆっくりと減少傾向にあり、従業員承継と拮抗している形となっています。

反面、M&Aは、従来は少なかったものの、ゆっくりと増加しており、現在は3割近くとなっており、その差は縮まってきています。

高齢化の進行や、従来型の「家業を継ぐ」という概念の崩壊などから、今後はM&Aや、従業員承継が多くなると考えられます。

 

③事業承継で引き継ぐ要素

では、実際に事業承継では何を引き継ぐのでしょうか。
具体的に引き継ぐものとしては、

(1)経営権
(2)会社財産(資産)
(3)知的財産

の3つが挙げられます。

ひとつひとつみていきましょう。

(1)経営権

経営権は、その名の通り、会社を経営していく権利のことです。

社長(代表取締役)に就任すると、会社を代表して法律行為を行う事ができます

経営権とは、厳密には法律用語ではありませんが、一般的には、そのような代表権、経営指針の決定権、また、次の後継者の選定などの会社の進退に関わることを含めて経営権と称することがあります。

株式会社であれば、議決権のある株式の過半数を引き継ぐことで得られる権利となります。
もっとも、過半数を引き継いで得られるのは、会社の「経営権」にとどまります。
会社の「支配権」(役員の解任などの会社にとって重要事項を決める事ができる権利)は、3分の2以上の株式を持って初めて、得られることになるためです。

(2)会社の物的資産

会社が、会社名義で保有している財産のことです。

例えば、
・事業に使用している会社名義の土地・建物などの不動産、
・事業用の設備や機械
・事業用の運転資金
などです。

また、株式会社が会社自身で株を保有している場合(自社株といいます)、この株式も引き継ぐこととなります。

(3)会社の知的資産

知的財産とは、会社を経営していく上で必要となる経営理念やノウハウ、人脈や技術などの財産です。

会社が今まで培ってきた経験値やノウハウなどは、物的財産と同様に会社自身の財産となっています。

ブランド力や、業界内部での信用度などを含むときもあります。

(4)まとめ

事業承継で引き継ぐ上記3つのものは、いずれも会社をスムーズに承継し、更に発展させていくために必要不可欠となっているものです。

そのため、経営権の他にも、会社資産や、特に知的資産の引き継ぎを滞り無く行う必要があり、周囲への気配りなども含めた入念な準備が事業承継を成功させる秘訣となるでしょう。

 

④事業承継を行う際の法的手続き

上記のように、事業承継とは会社をまるごと引き継ぐことを指しますが、実際はどのような手続きを取ることになるのでしょうか。

法的手続き以外にも、後継者の選定や、後継者育成教育、周囲からのコンセンサスを得る、従業員への告知を行う、などの手続きが必要となりますが、主に法律関係の手続きに絞って解説していきたいと思います。

また、M&Aの中には様々な方法があり、場合によっては中間業者が入ることもあるため、また手続きが異なります。(後述⑤で述べます)

④では、沖縄県内で多くなされている、小規模な株式会社の親族内承継及び社内承継を念頭に解説していきます。

(1)事業承継計画書の作成 

中小企業経営承継円滑化法申請マニュアル、及び、 中小企業事業承継ハンドブック(中小企業庁)より     

これは、社内の資産状況や現状把握を行うために行うものです。
小規模な会社の事業承継の場合であっても、計画書を作成しておくことで、現状を客観的に把握することができ、承継後の事業の発展につながることもありますので、作成をおすすめします。

具体的には、

・株式の保有状況の確認
 →誰がどれだけ株式を保有しているのか、株式発行状況は合致しているのか、行方不明となっている株式はないか 、等を確認します
 ※株式譲渡後に、実は株主であったと名乗り出て来る人が出てきて、後に裁判や調停というトラブルに発展することが過去に有りました。

 

・会社財産の計上
 →どれが会社名義資産か、借入金の有無、財産状況の確認等を確認します。

 

・会社財産と、個人財産の分離
 →経営者が個人的に保証しているものがないか、会社財産である車を自家用車として利用していないか、等を確認します

 

・財産分配方法の立案
 →誰にどの財産を分配するかを計画します。
 ※以下の(2)でも述べますが、親族に承継させる場合は、相続とも関連するため、生前贈与や遺言を活用するという方法も考えられます。
 ※また、従業員に承継させる場合は、株式などの財産について、親族間との調整が必要となることが多いでしょう。

 

・承継した際の財務・税務関係の整理
 事業承継を行うと、贈与税や所得税等の税金が発生し、税務関係が複雑となる場合があります。
 また、不動産や大型機械等を有している場合、固定資産税の支払い状況の確認や引き継ぎを行う必要があります。

(2)後継者への経営権の集中

後継者に経営権を譲るためには、後継者へ株式を集中させる必要があります。

株式会社の場合は、上記で述べたように、過半数の株式を有することで、「経営権」を獲得することができます。
そして、3分の2以上を保有することで「支配権」を獲得することができるのです。

この場合、主に3つの手法が取られる事が多いです。

 

i生前贈与や遺言

事業譲渡を進めている最中でも、現経営者が多数の株式や会社資産有している場合に、何も対策を行わないまま、死亡してしまうと、相続法に則って財産の分配が行われてしまいます。

そうすると、多数の相続人に株式や資産が散らばってしまいます。
多数の相続人たちから、同意を取ってくる必要が生じてしまうのです。
こうなってしまうと、財産を再び後継者に会社財産を集中させることが難しくなってしまいます。

このような事態を防ぐために、経営者が生前贈与(経営者が存命中に財産を後継者に譲ること)として、株式や資産を後継者に引き継がせることが考えられます。

また、経営者が最後まで現役を努めあげ、死亡後に後継者が引き継ぐ、という事業承継の場合、遺言を作成しておくことが、財産が散らばってしまわないことの予防策となります。

 

ii 株式買い取り

他には、既に相続人や、多数の人に株式などの財産が散らばってしまっている場合、会社自身や、後継者による株式の買い取りという方法があります。

(会社財産も買い取ることもありますが、経営権の集中という意味では株式買取のみで足ります)

もっとも、株式買い取りは、会社や、後継者が、それなりの資産を有していないと行えないうえ、相手の同意が必要となってきてしまいます。

 

iii会社法の制度利用

相続の際に議決権のある株式を後継者に集中させる方法として、会社法の制度を活用するという手もあります。

① 株式の譲渡制限や相続人に対する売渡請求制度を使う
② 種類株式(議決権制限株式など)を活用する

といったものですが、なかなか小規模な会社にとってハードルが高い予防策とも言えます。

一度、財産が散らばってしまうと、後継者に再集中させることは時間的にも精神的にも経済的にも負担が大きい物となってしまいます。
そのため、事業承継を行う際は、適切な計画書を立案し、生前贈与や遺言などの予防策を前もって準備しておくことが重要であると言えるでしょう。

(3)株主総会開催や役員登記の変更手続

経営権を集中させ、後継者に事業譲渡を行う準備が整った後は、株主総会を開催し、代表取締役として、後継者を選任する必要があります。

役員登記の変更手続きは、重要なものですが、それぞれの会社の定款規定や、事業承継の方法によって行う手続きが異なりますので、本ページでは詳細は割愛させていただきます。

 

族内承継及び社内承継による事業承継では、以上のような手順が一般的となります。
どれも重要な手順となっていますが、
法的に一番ネックとなってくるのは、
(2)後継者への経営権の集中と言えるでしょう。
経営権の集中に関して弁護士ができること、については⑤で解説いたしますので、お読みいただければと思います。

 

④M&Aを行う場合の手続き

では、M&Aを行う場合はどうなるのでしょうか。
これは、会社を第三者に売却する手続きとなりますので、上記の事業承継とはまた異なる手続きが必要となってきます。
どのような方法で、M&Aを行うのか、といった方法から検討する事になります。
そのため、取る方法によって、スケジュールや、関わる関係者や専門家の数、経済的規模が変わってきます。

具体的には、
(1)スキーム検討
(2)交渉手続き
(3)デューデリジェンス
(4)契約締結・実行

といった手順を踏むことが一般的です。

(1)スキーム検討

上記で述べた親族間事業承継や、従業員事業承継と大きく異なるのは、M&Aと言っても様々な譲渡形態がある点です。
例えば、合併、会社分割などは、会社法において、「組織再編行為」と定められており、会社法に詳細な規定が作られています。
そのため、厳密な手続きに従う必要があります。
規定を無視した組織再編行為を行うと、無効だと訴えられるリスクが有るのです。

(2)交渉手続き

相手方と、売却価格の値段交渉や、売却方法の交渉を行います。

中規模の会社の場合は、中間会社(M&Aアドバイザー会社などと呼ばれることもあります)が入り、調整役をこなす場合があります。

(3)デューデリジェンス

デューデリジェンス(DDと略されることもあります)とは、買収される側の会社が、今まで適切な会社運営を行ってきていたかどうかを確認する作業のことです。

例えば、
・株主総会・取締役会の開催が適切にされているか
・適切な定款が定められているか
・各種行政規制や、会社法を遵守した経営が行われているか
・労働法関連の違反事例や、従業員への未払い賃金などが無いか
・チェンジオブコントロール条項が入った重要な契約書は存在しないか
 ※チェンジオブコントロール条項とは、会社の経営者変更があった際に、契約が解除となったり、違約金が発生するようことが定められている条項です。

(4)株式譲渡契約締結や、M&Aの実行

それぞれの事案によって異なりますが、秘密保持契約書や、基本合意契約書、譲渡契約書などの書面を作成し、締結するのが一般的です。

 

・秘密保持契約書

M&A初期の契約書です。
交渉初期段階だと、まだ会社が合併するかどうかわからない状況ですが、買収する側は、相手の会社の内情を知る必要があります。
そのため、相手の企業秘密などを知ったとしても、それを他に漏らさないという内容の契約を結びます。

 

・基本合意契約書

ある程度進んだ段階で、締結する書面です。
売却のための重要な条件について合意した内容確認のための書面となります。
例えば、大まかなスケジュールや、他の会社と同じような交渉を同時並行で行わないこと(法的には独占交渉権の付与といいます)、役員や従業員の雇用の継続について、といった重要なことを記載します。

 

・譲渡契約書

最終契約書とも呼ばれるものです。
当事者間で、詳細な条件、内容、時期、譲渡価格や条件を記載する最も重要な契約書となります。

 

他にも、
・アドバイザリー会社を入れる場合は、アドバイザリー契約書、
・やや話が進んだ段階で締結される意向表明書等が締結されることもあります。

(5)まとめ

以上のように、M&Aの場合に法的に重要となってくるのは、
(1)スキーム検討
(3)デューデリジェンス
(4)株式譲渡契約締結や、M&Aの実行
であるといえるでしょう。

会社法で規定されている方法によらないスキームで手続きを進めてしまうと、無効であると主張されてしまうこともあります。

また、デューデリジェンスをおざなりにしてしまうと、会社財産だと思っていたものがじつは個人所有のものであったり、経営者が変わったことで重要な賃貸借契約が解除されてしまい、会社が事業を存続できなくなるといった事態に陥ってしまいます。

そして、M&Aの場合、各契約書は、非常に重要なものとなります。
M&Aの話が持ち上がっても、途中で話が経ち消えになることは実務ではままあることです。
また、手続き完了後に、会社の経営実態が異なっていたとして紛争に発展してしまうこともあります。
そのような法的トラブルがおこらないよう、秘密保持契約書や各契約書を締結しておくことが大切です。

 

⑤事業承継において弁護士にできること

本ページでは、③親族間や従業員との事業承継④第三者への売却であるM&Aの手続きについて見てきました。

それでは、弁護士は、どのようなことができるのでしょうか。
それぞれに場合分けしてみていきたいと思います。

・親族間や従業員との事業承継を行う場合

この場合、法的に一番問題となるのは、
(2)後継者への経営権の集中である、ということはうえで解説させていただきました。

この点、弁護士は、上であげたような様々な手法を提案することができます。

例えば、経営者が、自分の相続人である子供を後継者に選定し、自分の株式などを前もって与える、「生前贈与」を行う場合は、相続法が絡んでくることとなります。
遺留分による制約が代表的ですので、他の相続人との関係を調整し、適切な内容の生前贈与方法を取る必要があります。
他にも、あとから、仮装贈与を疑われないようにするために贈与契約書を作成し、株主名簿や、登記の名義を変更しておく、等の手続きが重要です。

なお、生前贈与の場合、一般的には相続税に比べて贈与税が課税されることが多くなりますので、税理士との連携も大切だといえます。

事業承継だけでなく、相続法にも詳しい弁護士に依頼することで、事案ごとにどの手法が適切か検討してもらうことができると言えます。

また、「遺言」の手法によって経営権を集中させる場合は、適切な遺言書を作成する必要があります。

遺言には、主に「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2種類がありますが、この内自筆証書遺言は、敵式な方法によって書かれていなければ、無効となる場合があります。

遺言作成方法については、詳しく解説しておりますのでご一読ください。

遺言書の解説はこちら

 

以上のように、
・そもそもどの手法で経営権を集中させるべきなのか、といったところから、
・生前贈与契約書や遺言書などの書類作成、
・登記名義変更まで最初から最後までお手伝いしてもらえるのが、弁護士を活用するメリットであるといえるのではないでしょうか。
弁護士をうまく活用すれば、スムーズでスピーディーな事業承継に繋がると言えます。

・M&Aによって事業承継を行う場合

M&Aの場合は、上でも述べたように、
(1)スキーム検討
(3)デューデリジェンス
(4)株式譲渡契約締結や、M&Aの実行
のいずれの手順も法的に重要なものとなりますが、弁護士の活用方法は様々です。

最初のスキーム検討で悩んでいる場合は、経営者の意見をヒアリングし、法的に適切なスキームを提案することができます。

そして、デューデリジェンスや、各種契約書の締結はもっとも弁護士が活躍する場面であると言えるでしょう。

M&Aの場合に提出される書類は膨大なものとなる場合が多いですが、
ひとつひとつの書類を細かくチェックし、問題がないかどうかを確認することをお願いできます。
特に、売却する側の会社経営が適切でないまま引き継いでしまうと、思ってもいないリスクを抱え込んでしまうことがあります。
このような自体を避けるためのデューデリジェンスを法の専門家に任せることは、安心感を買うことにも繋がります。

また、比較的小規模のM&Aの場合は、重要そうな書面のみチェックを頼むことで弁護士費用を節約することもできます。
上手に使うことで、スムーズなM&Aの実現につながると言えるでしょう。

 

⑥当事務所に依頼するメリット

弊社は、沖縄県内にて、2009年から、企業法務をメインに弁護士業務を行っており、県内外には、数十社に渡る顧問企業を有しております。

また、いわゆる中小企業の事業承継についても、複数件携わってまいりました。

そのため、沖縄県内独特の企業の内情や、ビジネス慣行についての知識を持っており、事業承継について深い知見を有している弁護士も複数名在籍しております。

 

サービス業や、医薬品業界、観光業等、多種多様な業種の承継を成功させている経験を活かして、経営者特有のお悩みに寄り添った解決策を提案することができると自負しております。

 

弊所は、事業承継を考えている経営者の方からのご依頼、ご相談を常時受け付けております。

企業法務に精通した弁護士が、全力を尽くします。

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    Last Updated on 2024年1月10日 by roudou-okinawa

    所属弁護士6名この記事の執筆者
    弁護士法人ニライ総合法律事務所

    弁護士法人ニライ総合法律事務所は、実績豊富な6名の弁護士で構成されています。このうち3名は東京で弁護士活動してきた経験を持ち、1名は国家公務員として全国で経験を積んできました。

    当事務所の弁護士は、いずれも「依頼者の最大の利益を追求する」をモットーに行動いたします。

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