Q&A
Question
私は、建築会社を経営しています。
これまで、建築工事を請け負う際に、契約書などは作ってきませんでした。
しかし、先日、契約書がないことで、施主と請負代金の額でトラブルになってしまい、大変な思いをしました。
今後は、このようなトラブルが生じないように契約書を作ろうと考えていますが、どのような点に注意して契約書を作れば良いでしょうか?
Answer
請負契約成立のためには、最低限①工事の内容と②報酬について合意する必要があります。
なので、少なくともこれらの点を契約書に記載しましょう。
ただし、①工事の内容と②報酬は事前に確定的なものを決めることが難しい場合があるので、工夫が必要です。
解説
1 工事内容の合意について
まず、①工事の内容については、工事を請け負った際に、詳細部分まで決めることができない場合が多くあると思います。
そこで、必ずしも詳細部分の確定まで必要ではありません。建築請負では、一般的には建物表示登記に要求される程度の事実(所在・種類・構造・床面積)についての合意があれば良いと考えられています。
なので、所在・種類・構造・床面積について、契約書に記載しましょう。
2 報酬の合意について
また、②報酬については、具体的な金額についての合意があれば、問題なく請負契約の成立が認められます。
問題になるのは、契約締結の際には、工事の費用がどのくらいかかるか分からず、代金を決めることができない場合です。この場合には、請負代金を「相当額」と合意することができます。
なので、代金の具体的な金額を決めることができない場合には、契約書に「相当額」と記載しましょう。
この際、「相当額」として請求できるのは、コストに適正利潤を加える(実費+報酬)等の合理的な方法により定められる額です。
3 注意点
上記は、請負契約の成立に最低限必要な要素について述べたものです。
個別の事例によっては、その他の事も記載した方が良い場合があることには注意してください。
参考文献
岡口基一「要件事実マニュアル 第6版 第2巻 民法2」司法研修所編「民事訴訟における事実認定-契約分野別研究(製作及び開発に関する契約)」
Last Updated on 2023年7月13日 by roudou-okinawa
この記事の執筆者 弁護士法人ニライ総合法律事務所は、実績豊富な6名の弁護士で構成されています。このうち3名は東京で弁護士活動してきた経験を持ち、1名は国家公務員として全国で経験を積んできました。 当事務所の弁護士は、いずれも「依頼者の最大の利益を追求する」をモットーに行動いたします。 |