商品の引き上げによる債権回収

商品を売ったのに、代金を払ってもらえない場合、その商品を引き上げるという手法があります。

債権者の視点からすると、代金支払いが滞っている相手方の経済状況を考えると、出来るだけ早く債権を回収したいと考えるのは当然です。しかし、この場合にも幾つか手順を踏む必要があり、これを怠ると刑事事件に発展する恐れもあります。以下、手順を見ていきます。

 

point 1 契約関係を解除する

代金を払ってもらえないというだけでは、物を直ちに返してとはいえません。まず、この売買の契約を解除する事が必要となります。通知書等を送って、解除の意思表示をします。

 

point 2 債務者の同意をもらう

物を引き上げる際に、債務者からの同意が必要となります。あらかじめ、「商品引き上げ同意書」などの文書を作っておき、物を引き揚げに行った際にその場で相手方の代表者や従業員からサインをもらいます。その際に、同意があることを立証するために、引き上げの際には、ビデオカメラで撮影をしたり、スマホで相手とのやり取りを録音しておくことをお勧めします。

 

point 3 窃盗罪・住居侵入罪に注意する

物の引き上げをする際に、相手方の同意を得ずに敷地内に入ったことで、住居侵入罪(刑法130条)に抵触する恐れがあります。相手方の会社を訪問する場合には、受付で名前を名乗り一般的な時間帯に訪問するようにしてください。また、物を相手方の同意なく引き上げると、窃盗罪(刑法235条)に抵触する恐れがあります。前記のとおり、同意書にサインをもらうこと、出来るだけ引き上げの際のやり取りを録音する事、相手方の意に反して強引に商品を引き上げないこと、などに注意してください。

Last Updated on 2023年7月13日 by roudou-okinawa

所属弁護士6名この記事の執筆者
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