労働局にあっせんを申し立てられたら?
労働トラブルのあとに「あっせん」を申し立てられたら使用者はどうすれば良いのでしょうか。
1.あっせんとは?
使用者と労働者の間に紛争が生じた場合には、まず、両者が自主的に話し合うことにより解決を図ること原則です。しかし、紛争当事者が直接話し合う場合には、お互いが感情的になったり、主張が平行線をたどるなど、話合いによる解決が困難になることがあります。
そのような場合に、都道府県労働局におかれる紛争調整委員会の委員が紛争当事者(使用者・労働者)の間に入り、それぞれの主張を聞き、合意点を探りながら紛争解決を図る制度が「あっせん」になります。簡単に言えば、労働紛争を裁判外で解決する手続きです。
2.「あっせん」の対象となる紛争とは?
対象となる紛争は、「会社と個々の労働者との紛争」でありかつ「労働条件その他労働関係に関する事項について」の紛争です。具体的内容としては、以下のものがあります。
- 解雇、配置転換・出向、雇止め、労働条件の不利益変更等の労働条件に関する紛争
- 事業主によるいじめに関する紛争
- 会杜分割による労働契約の承継、同業他社への就業禁止等の労働契約に関する紛争
- 募集・採用に関する紛争等が該当することとなります。
3.あっせんの対象とならない紛争とは?
以下のような紛争は対象となりません。
- 労働関係に関しない事項についての紛争、例えば、労働者と事業主の私的な関係における金銭の貸借に関する紛争など
- 労働組合と事業主の間の紛争や、労働者と労働者の間の紛争
- 裁判で係争中である又は確定判決が出されている等、他の制度において取扱われている紛争
- 男女雇用機会均等法において女性に対する差別が禁止されている事項に係る紛争(男女雇用機会均等法による調停で解決を援助します。)
- 労働組合と事業主の間で問題として取り上げられており、両者の間で自主的な解決を図るべく話合いが進められている紛争
4.「あっせん」の手続きの流れとは?
各都道府県労働局におかれている弁護士・大学教授などからなる紛争調整委員会の委員の中から指名されるあっせん委員が、行います。あっせんの手続きは、非公開で行われ、原則として1日で終了します。あっせんの当日の手続きは、
- あっせん委員が使用者側・労働者側双方の事情を聴き、双方の主張を確認
- あっせん委員が紛争の解決点を探り、双方を調整
- あっせん委員による具体的なあっせん案の提示
という流れで実施されます。
双方があっせん委員の提示するあっせん案を受け入れれば、あっせん成立となります。一方あるいは双方があっせん案を受け入れなければ、あっせんは打ち切りとなります。
なお、使用者があっせんを申請したことを理由としてあっせんを申請した労働者を不利益に取り扱うことは禁止されています。
あっせんが成立した場合、民法上の和解契約の効力を持つことになります。
5.「あっせん」の呼び出しを無視したらどうなるの?労働審判とは?
労働者からあっせんを申し立てられたとしても、あっせんに参加するか否かは使用者側の自由になっています。ですから、あっせんを無視したからと言って、裁判のように一方的に敗訴になるわけではありません。
ただし、あっせんに参加しない場合、あっせん打ち切りで終了した場合には、トラブルは未解決のままですので、訴訟または労働審判になるリスクがあります。
だいたいの労働トラブルでは、あっせんに使用者が欠席すると、労働者は労働審判を申し立ててくるので、早期解決を図りたいのであれば、あっせんに出席することも一つの手段です。
あっせんに参加しても、あっせん委員の提示するあっせん案を受諾しないことも可能です。
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6.「あっせん」に弁護士を代理人として頼めるの?
「あっせん」手続きに、使用者が弁護士を頼むことができます。弁護士は、使用者側の有利な事情を調べて法的に構成し直し、主張することができます。
また、あっせんにおいて適切な和解案を提案することも出来ます。弁護士は社労士とは違い、労働審判、裁判などの経験があるので、あっせんが不調に終わって裁判などにもつれ込んだ場合にどの程度の期間の労力がかかり、どのような判決になるのかなどの見通しが効くため、あっせん段階で適切な額での和解で早期に終わらす相場感も持っています。当事務所では顧問を検討されているお客様に無料法律相談を設けております。
7.「あっせん」を弁護士に頼んだ場合の費用は?
当事務所では、「あっせん」については、着手金・報酬金はゼロ、月々3万円~の顧問契約(最長1年)という形で弁護士費用をいただいております。
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Last Updated on 2023年12月7日 by roudou-okinawa
この記事の執筆者 弁護士法人ニライ総合法律事務所は、実績豊富な6名の弁護士で構成されています。このうち3名は東京で弁護士活動してきた経験を持ち、1名は国家公務員として全国で経験を積んできました。 当事務所の弁護士は、いずれも「依頼者の最大の利益を追求する」をモットーに行動いたします。 |